「ピラティスはインナーマッスルに良いと聞くけれど、そもそもインナーマッスルってどこのこと?」。そう感じたことはありませんか。言葉はよく聞くのに、体のどこにあって、どう使うのかは意外とわかりにくいものです。

ピラティスは、体の表面にある大きな筋肉だけでなく、奥のほうで体を支えている筋肉にも意識を向けていく運動です。見た目の動きは地味でも、体の内側では多くの筋肉が協力して働いています。

この記事では、ピラティスで意識しやすい代表的なインナーマッスルを4つ取り上げます。そのうえで、アウターマッスルとの関係や、一般的な筋トレとの違いをわかりやすく整理しました。専門的な言葉はできるだけかみくだいてお伝えします。

結論:ピラティスは「内側で支え、外側で動かす」連携を意識する運動です

まずは要点を3つにまとめます。

  • ピラティスで特に意識するのは、腹横筋・多裂筋・骨盤底筋群・横隔膜といった、体の深い部分にあるインナーマッスルです
  • インナーマッスルだけを鍛えるのではなく、アウターマッスルとの連携を整えていくことを大切にします
  • 筋トレが「重りで筋肉に負荷をかける」ことを得意とするのに対し、ピラティスは「体をどう使うか」の意識づけを得意とします。目的に応じて組み合わせる考え方もあります

以下で、一つずつ詳しく見ていきます。

インナーマッスルとアウターマッスルの違い

筋肉は、体の表面に近いか、奥にあるかで大きく2つに分けて説明されることがあります。厳密な分類ではありませんが、イメージをつかむにはとても役立ちます。

インナーマッスル アウターマッスル
場所 体の深い部分、骨や関節の近く 体の表面に近い部分
主な役割 姿勢を保つ、関節や背骨を安定させる 大きな力を出す、体を大きく動かす
働き方のイメージ じわじわと長く働き続ける 必要なときに強く働く
触って確かめやすさ 外から触れにくいものが多い 触ったり見たりしやすい

たとえば、お腹の表面にある腹直筋や、太ももの前側の大腿四頭筋はアウターマッスルの代表です。一方、インナーマッスルは外からは見えにくく、動いている実感も得にくいのが特徴です。

だからこそ、インナーマッスルは「意識する」ことが大切になります。ピラティスの呼吸や、ゆっくりした動きは、この見えにくい筋肉に注意を向けるための工夫だといえます。

ピラティスで意識しやすい4つのインナーマッスル

ここでは、ピラティスで特によく登場するインナーマッスルを4つ紹介します。この4つは体幹を内側から包むように配置されていて、まとめて語られることも多い筋肉です。

位置関係を、お腹まわりを1つの箱にたとえて整理してみましょう。

  • 箱のふた(上):横隔膜
  • 箱の底(下):骨盤底筋群
  • 箱の前と横:腹横筋
  • 箱の後ろ:多裂筋

この箱の上下と四方が協力して働くことで、胴体の内側が安定しやすくなると考えられています。どれか1つだけを意識するより、箱全体をイメージするほうが感覚をつかみやすい方もいます。

腹横筋:お腹をぐるりと包むコルセットのような筋肉

腹横筋は、お腹の筋肉のなかで最も深い層にある筋肉です。名前のとおり、お腹を横方向にぐるりと包むようについています。よく「天然のコルセット」にたとえられます。

腹横筋は、息を吐いてお腹を薄くするときに働きやすい筋肉です。ピラティスで「吐きながらおへそを背骨に近づけるように」と声をかけられるのは、この腹横筋を意識しやすくするためです。お腹まわりを内側から安定させることで、手足を動かすときの土台がつくりやすくなります。

多裂筋:背骨を一つひとつ支える細かな筋肉

多裂筋は、背骨のすぐそばについている細かな筋肉です。背骨の骨と骨をつなぐように付いていて、背骨の一つひとつを安定させる役割があるといわれています。

背骨は、たくさんの骨が積み重なってできています。多裂筋は、その積み木のような構造を細かく支えています。ピラティスで背骨を一つずつ丸めたり伸ばしたりする動きは、背骨まわりの細かな筋肉に意識を向けることにつながります。長時間座っていると、背中が固まったように感じることがあります。そんなときも、背骨を丁寧に動かす時間をつくると、背中の感覚に気づきやすくなります。

骨盤底筋群:骨盤の底をハンモックのように支える筋肉群

骨盤底筋群は、骨盤の底にある複数の筋肉の総称です。ハンモックのように骨盤の底に広がり、内臓を下から支えています。

骨盤底筋群は、自分で動かしている感覚をつかみにくい筋肉です。ピラティスでは、呼吸に合わせて骨盤の底を軽く引き上げるようなイメージを持つことがあります。産後の方や、この部分に気になる症状がある方は、医師に相談のうえで取り組むようにしてください。

横隔膜:呼吸の中心になるドーム状の筋肉

横隔膜は、胸とお腹を仕切っているドーム状の筋肉です。呼吸をするときに中心となって働きます。息を吸うと下がり、吐くと上に戻る動きをくり返しています。

横隔膜は、ふだん無意識に動いている筋肉です。ピラティスでは呼吸を丁寧に行うため、横隔膜の動きにも意識が向きやすくなります。呼吸のやり方について詳しく知りたい方は、ピラティスの呼吸法を解説した記事も参考にしてください。

インナーとアウターはどう連携しているのか

インナーマッスルが大切だからといって、アウターマッスルが不要なわけではありません。体は、両方がうまく協力することでスムーズに動けます。

「内側で支えて、外側で動かす」イメージ

体の動きを、家にたとえてみましょう。インナーマッスルは家の基礎や柱、アウターマッスルは窓やドアのような動く部分です。基礎がしっかりしていると、窓やドアも開け閉めしやすくなります。

たとえば腕を大きく持ち上げるとき、実際に腕を動かすのは肩まわりのアウターマッスルです。ただ、その前に体幹が安定していないと、腰が反ったり肩がすくんだりしやすくなります。内側で支える準備ができていると、外側の筋肉も本来の役割に集中しやすくなるのです。

アウターばかり頑張ってしまうクセ

体の使い方には、人それぞれクセがあります。よく見られるのが、本来インナーマッスルで支えたい場面で、アウターマッスルががんばりすぎてしまうパターンです。

  • 腹筋運動をすると、首や肩ばかりが疲れる
  • 立っているとき、腰まわりに力が入りっぱなしになる
  • 片足立ちになると、太ももに力が入ってグラグラする

こうしたクセは、自分では気づきにくいものです。ピラティスでゆっくり動いてみると、「ここに力が入りすぎていたんだ」と気づくきっかけになることがあります。気づくことが、体の使い方を見直す第一歩になります。

連携を意識すると、日常の動作も意識しやすくなる

インナーとアウターの連携は、特別な運動のときだけの話ではありません。椅子から立ち上がる、階段をのぼる、荷物を持ち上げる。こうした日常の動作でも、両方の筋肉が協力して働いています。

ピラティスで「内側で支えてから動く」感覚をつかむと、日常の動作でも体の使い方を意識しやすくなります。体幹についてもう少し深く知りたい方は、ピラティスと体幹について解説した記事もあわせてご覧ください。

ピラティスと筋トレは何が違う?

「筋肉を使うなら、筋トレとどう違うの?」という疑問もよくいただきます。どちらも体を動かして筋肉を使う点は同じですが、目的や進め方に違いがあります。

比べるポイント ピラティス 一般的な筋トレ
主な目的 体の使い方・姿勢の意識づけ 筋肉に負荷をかけて大きく強くする
負荷 自分の体重が中心(マットの場合) ダンベルやマシンなどで重さを調整
意識するところ 呼吸・体幹・背骨の動き 狙った筋肉を追い込むこと
動きのスピード ゆっくり、コントロールしながら 種目によってさまざま

目的の違い

筋トレは、特定の筋肉に負荷をかけて、筋肉を大きく強くすることを主な目的にすることが多い運動です。一方のピラティスは、体全体をどう使うか、どこで支えてどこで動かすか、というバランスに目を向けます。

たとえば同じ「お腹の運動」でも、筋トレでは腹直筋にしっかり負荷をかけることを狙う場合があります。ピラティスでは、背骨の位置や呼吸を保ったまま、深い部分から支えられているかを確かめながら動きます。見た目は似ていても、意識の向け先がかなり違うのです。

負荷のかけ方の違い

筋トレでは、重さや回数を少しずつ増やしていくのが一般的です。ピラティスでは、重さよりも「正確さ」や「コントロール」を重視します。同じ動きでも、ゆっくり丁寧に行うほど体の内側を意識しやすくなります。重りを使わない分、関節に大きな負担をかけにくい点も、運動が久しぶりの方にとって取り組みやすい理由のひとつです。

どちらか一方ではなく、組み合わせる考え方も

ピラティスと筋トレは、どちらが上というものではありません。筋トレをしている方がピラティスを取り入れると、体の使い方への意識が高まり、トレーニング中のフォームを見直すきっかけになることもあります。ご自身の目的に合わせて、無理のない形で組み合わせてみてください。

インナーマッスルを意識するための3つのコツ

インナーマッスルは、意識しようとしてもすぐには感覚をつかみにくい筋肉です。ここでは、ピラティスで取り組むときのコツを紹介します。

呼吸から入る

インナーマッスルを意識する入り口として、呼吸はとても役立ちます。息を吐くときにお腹を薄くしていくと、腹横筋や骨盤底筋群に意識を向けやすくなります。まずは動かずに、呼吸だけを丁寧にくり返すところから始めても大丈夫です。

動きを小さく、ゆっくりにする

勢いをつけて大きく動くと、どうしてもアウターマッスルが主役になりがちです。動きを小さく、ゆっくりにしてみると、奥で支えている筋肉の働きに気づきやすくなります。「物足りないかな」と感じるくらいの動きでも、丁寧に行えば十分に意味があります。

1対1で「いま使えているか」を確認する

インナーマッスルは外から見えにくいため、ひとりで練習していると、正しく意識できているか判断しにくいことがあります。インストラクターに姿勢や呼吸を見てもらうと、自分では気づけないクセに気づきやすくなります。

パーソナルピラティス VERT34では、マットピラティスを1対1で行っています。体の状態やクセに合わせて、その都度メニューを調整できるのが1対1の良さです。完全個室なので、人目を気にせず自分の体の感覚に集中していただけます。

ピラティスと筋肉についてよくある質問

ピラティスで筋肉は大きくなりますか?

マットピラティスは、自分の体重を使った運動が中心です。重いダンベルを使う筋トレのように、筋肉を大きくすることを主な目的にはしていません。体を支える筋肉を意識し、使い方を整えていく運動だと考えるとイメージしやすいでしょう。

インナーマッスルを使えているか、自分でわかりますか?

最初はわかりにくいのが自然です。インナーマッスルは深い場所にあり、働いている感覚をつかみにくいからです。回数を重ねるうちに、「お腹の奥が働いている気がする」といった感覚が少しずつ出てくることがあります。焦らず続けてみてください。

自宅でもインナーマッスルを意識する練習はできますか?

できます。たとえば仰向けに寝て膝を立て、息を吐きながらお腹を薄くしていく練習は、マット1枚分のスペースがあれば取り組めます。ただし、最初は力の入れ方がずれていても気づきにくいものです。スタジオで感覚を確認してから自宅で復習すると、より安心して続けやすくなります。

腰に不安がありますが、始めても大丈夫ですか?

腰に痛みがある方や、通院中の方は、医師に相談のうえで始めるようにしてください。そのうえでセッションを受けていただく場合は、事前のカウンセリングで体の状態をお聞きし、無理のない範囲で内容を調整します。

何回くらい通えば、インナーマッスルを意識できるようになりますか?

感覚のつかみ方には個人差があるため、回数で言い切ることはできません。大切なのは、一定のペースで続けることです。VERT34では、月4回・月8回のプランをご用意しています。料金は料金ページでご確認いただけます。

まとめ:見えない筋肉に目を向けることが、体の使い方を見直す第一歩です

ピラティスで意識する筋肉は、腹横筋・多裂筋・骨盤底筋群・横隔膜といった、体の奥にあるインナーマッスルが中心です。ただし大切なのは、インナーだけを鍛えることではありません。内側で支え、外側で動かすという連携を意識していくことにあります。

筋トレとは目的や負荷のかけ方が違うため、どちらが良い・悪いではなく、自分の目的に合わせて選んだり組み合わせたりするのがおすすめです。ピラティスそのものの特徴を知りたい方は、マットピラティスとは何かを解説した記事もご覧ください。

インナーマッスルは、ひとりでは感覚をつかみにくい筋肉です。パーソナルピラティス VERT34では、完全個室・1対1で、呼吸や姿勢を確認しながら進めていきます。田町・三田店、横浜店ともに駅から近く、体験セッションは30分2,200円から受けられます。まずは一度、体の内側を意識する感覚を体験してみてください。ご予約はお問い合わせフォームからどうぞ。